○小学校低学年から英語を教える?
2011年4月から実施される新学習指導要綱によって、小学校低学年から英語学習が行われるようになったとご存知の保護者様は多いのではないでしょうか。
しかし、実際は「児童が楽しみながら外国語に触れたり、外国の生活や文化などに慣れ親しんだりするなど、小学校低学年段階にふさわしい体験的な学習活動を行えるようになっただけなのです。
今後は音声中心や動機づけ中心の英語学習となると、ネイティブスピーカーとの交流が重要になってくると考えられます。JETプログラムによって、小学校専属の多くのALTを採用していますが、あまりにも外国人教師の人数が少なすぎるのです。
ALT講師の派遣事業を行っている英会話スクールはNOVA、ジオス、イーオンなどでしたが、このうちのNOVAとジオスはご存じのように倒産しました。その後、ジー・コミュニケーション社が引き継ぎました。これも途中でとん挫してしまい、2010年10月にはマネーゲームのように株式売買の道具にされてしまい、揚げ句の果てにどこからも見捨てられてしまったようなのです。
そこで、AtlasのALT講師派遣についての考え方としては、JETプログラムの場合、派遣されるALTを選べませんので、教育委員会は、どんなALTが来るかに一喜一憂することになります。また、ALTを管理する手間とコストもかかります。これに対して、民間派遣の場合ですと、講師の質が保証されますし、ALT講師の研修を教育委員会の意向を交えて実施したり、管理コストを下げられるという利点がある、と考えております。
このように、Atlasも含め民間教育産業を巻き込んで、公立小学校の英語活動は行われています。しかし、話題性が高い割には、現実に意味のある英語教育が各小学校で実施される可能性は低いと考えられています。公立小学校の授業に英語活動を組み込む意義は何か、中学・高校でも英語学習にどのようにつなげていくか、さらに講師の研修や派遣も含めて小学校低学年から英語を導入することはコストに見合う方法なのかということについての議論が不十分な段階で、小学校低学年からの英語学習が本当に成功するのか、Atlasでは疑問を感じております。
「イマージョン」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。最近、日本でも注目されることが多くなった第二言語教授法です。英語で「浸す」という意味で、文字通り英語ばかり使う環境の中に浸って英語力を身につけようという英語教育法です。英語を話せない子どもたちばかりを集めたクラスで、英語だけを使って教科の授業を行うのが「イマージョン」の特徴です。
「イマージョン教育」は、カナダのモントリオールで始まり、英語とフランス語がともに公用語であるケベック州では、英語を母国語とする子どもにフランス語を効果的に身につけさせて、英語・フランス語のバイリンガルを育てる社会的必要性がありました。「イマージョン教育」は、これまで行われた第二言語教授法の中で、最も良好な成果をあげて、カナダだけでなく、アメリカの学校(特にカリフォルニア州とテキサス州の英語・スペイン語)にも広がり、北米では40万人以上の子どもがイマージョンプログラムで学習しているといいます。カリフォルニア州のサンフランシスコ市には英語を母国語とする子どもに日本語のイマージョン教育を行っている学校もあります。
ネイティブ講師と一緒に歌を歌い、工作をして、生活に密着した英語を習得していく。ただし、子どもの訴えを日本語で聞いてあげられる日本人スタッフがそばにいる必要があるので、日本人講師などがアシスタントを務めるようにします。小学校低学年でもネイティブ講師の英語での指示は、なんとなくわかるようになります。