文部科学省もこれまで、ただ手をこまねているわけではなく、これまでも小学校英語教育特区を指定したり、全国の小学校のいくつかを「小学校における英語学習異文化理解拠点校」と指定して、本格的な英語学習活動への取り込みを進めてきていた。
それ以外にも、独自の判断で小学校に英語学習活動を取り入れている小学校は多く、公立小学校に限っても、すでに半数を上回っているのである。また、特区指定を受けているわけではないが、自治体独自の判断で小学校に英語学習を導入しているところによると、札幌市中央区や福岡県吉富長のように、それまで5・6年生に英語を教えていたものを、2009年から開始年齢を一年繰り上げて4年生からしているという例もある。
拠点校に指定された小学校では、どんな取り組みを行っているのだろう。札幌市中央区の小学校では全校をあげて、それまでALTによる年10回の英語学習からの本格的な脱皮をはかろうという気運になったという。そして全教員が話し合い、協力し合って、4年生以下は余剰時間を利用して年間10時間5・6年生は総合的な学習の時間を利用して、年間40時間近くを使って英語学習をスタートした。
活動内容は、
①あいさつ
②ウォームアップ
③使用表現の導入
④英語を使っての遊び
⑤終わりのあいさつ
これらのシラバスは文部科学省の指導計画で示された「英語ノート」を下書きしたものである。
指導は、担任の先生とALT(外国人助手)が行う。担任の先生が授業のはじめと終わりのあいさつや学習の区切りなど学習の流れの説明役で、ALTは発音の練習や子どもたちとのコミュニケーションを担当するというように役割分担を行っている。
そしていままで、「最初は同じ友達だけだったコミュニケーションが、誰にでも自然に英語で話しかけるようになってきた」などの顕著な変化が見られるようだ。
小学校の英語学習の必須化は、2011年から始まった。実体験や実際の成果に基づいて、文部科学省がようやく下した決定なのである。
こうしたことを見ても、それなりの理由はあるだろうが、あれこれしている間に時間ばかり経ってしまい、韓国などアジア勢に後れをとってしまった。英語教育に関しても、日本のやり方は最早、世界のスタンダードからは大きく遅れてしまっていることがよくわかるのである。
>>2011年からの英語学習必須化を邪魔する人材不足 |