小学校の英語教育指導者だけの話ではないが、日本のどこの都市部に行っても、どの分野でも人材不足であるという話になっている。だが、本当に人材不足といえるのだろうか。まだまだ、活用できる人材源があるのではないだろうか。
その人材源として注目されているのが、女性と高齢者であることは間違いない。中でも、有能な女性が増えているのにもかかわらず、また、女性自身に仕事をしたいという希望があるにもかかわらず、女性の有職率は一向に改善されていない。
日本の女性は高校や大学を卒業するとほとんどは仕事に就きやすいが、結婚、あるいは出産を機に家事や育児に専念、いわゆる専業主婦になる。その後、子どもが中学生になると再び仕事を持つようになるのが今までの人生パターンだ。
この有職率の悪い理由はほとんどの場合、社会環境にある。既婚女性、子どもを育てている女性が働く社会的環境が整っていないからだ。保育所の待機児童数は年々増え続け、民間の保育所を利用しようとすれば、収入の半分が保育料に消えてしまうのだ。
子育てを終えて、再び社会に出るといっても、それぞれが持つ能力を生かせる仕事を手に入れられる確率は決して高くないと言わざるを得ないのである。
日本女性はいまや、男性と遜色のない向上心を持ち、社会参加に対しても高い意識を持っている。1972年には女子の大学進学率は25%を超えていた。当時では4人に1人は大学に進学する時代になった。
しかも、1980年代までは男子が女子を上回っていたが、短大進学者の増加などにより、1990年代に入った頃から進学率は女子が男子を上回るようになった。その後、景気後退などで再び男子が女子を上回ったが、その差はわずかなものだった。ちなみに2005年の大学進学率は55%だった。
女性も男性も、半数以上は大学教育を受けているのである。これだけの教育水準がある女性たちの多くが結婚・出産などの為とはいえ、一旦仕事場を離れ、再び社会に復帰できる機会を渇望している。
小学校の英語教育指導者にふさわしい人材確保をどう進めたらいいかを各方面で議論していたときに、当然というべきか、「民間の有能な英語講師を教育現場に紹介して、助手として小学校教員の英語力、経験などの不足を補う役割を果たす」という案が提唱された。
もちろんここでいう「民間の優秀な英語講師」とは女性、主婦に限っての話ではない。男性ももちろん、やる気と体力に問題がなければ、シニア層も対象になり得るはずなのだ。
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