カリフォルニア大学入試で「ペーパーテスト」廃止へ 揺れるアメリカの受験制度
(出典:2020年9月15日 Yahooニュース)
私の母校であるカリフォルニア大学の入試の件は、日本にとっても民間英語試験の導入に逆風になりそうです。
公平性を保つためとはいえ、ペーパーテストの「禁止」はかなり衝撃的です。実際に、アメリカの大学は入学するより卒業するほうが難しいので、まず意欲のある人だけ受け入れるということになります。
経済格差による教育格差は日本でも問題になっていますが、子どもたちには平等に学びと選択の機会を与える世の中になってほしいと願っています。英語教育や留学に携わる者として、学生を選ぶ際の評価制度をどのようにするのかは興味があります。
大学側は、人種による成績の差を理由とする廃止と公表していますが、大学の授業に必要な学力が足りなければ成績不十分で単位を認定しなければ済む話でもあります。
大学の生き残りには、授業の在り方だけでなく、入試の設計も柔軟に考えていくことが必要になってきていると考えています。ちなみに、TOEFLは免除されることはありません。
私は、今でも母校のカリフォルニア州バークレー校に通っていた時に知り合った友人や教授たちとチャットや電話などで連絡を取り合っています。当時、経済学部の担当教授であったイエレン前FRB(アメリカ連邦銀行)前議長の授業を受けたこともありました。
受験制度のないアメリカには、学習塾や予備校などというものはありません。その多くは中学・高校時代から成績が良く、SATやTOEFLの高得点を叩き出して有名大学に入学していましたが、最近はテストそのものが廃止されつつあります。
一方、30年ほど前に東大や北大を卒業した私の友人に聞いても、塾や予備校には通った記憶がない彼らに共通しているのが膨大な読書量です。そのうちの一人は、シリコンバレーでスタートアップを起業していますが、常に20冊以上の本がバッグに入っていました。
立命館大学 産業社会学部/現代社会学科
(出典:立命館大学)
私が大学生の頃にお世話になった原尻英樹・立命館大学教授(当時は放送大学准教授)は、1992年に起きたロサンゼルス暴動が起きた後にコリアンタウンにある下宿(ホームステイ先)で雑誌の協力もあって調査をされていました。
そこのホームステイ先で出会った私は、「LA暴動」について現地の韓国系や黒人街がある地域住民にインタビューを行ったことがあります。
原尻教授の自宅には、数万冊の本があるそうです。原尻教授は、文化人類学者で放送大学から静岡大学、そして現在は立命館大学の社会学部教授を務められています。確か奥様も韓国人で、在日コリアン研究の第一人者です。
その他、偏差値70以上の子どもが通う筑波大学駒場付属高校では、クラスメイトのほとんどが塾や予備校に通っていないにも関わらず、高校生ですでに大学生が読む本を読んで楽しんでいると聞きます。
筑駒の授業は、受験対策などしていませんが、多くの生徒が毎年のように東大へ現役合格しています。私の友人たちも、高校時代に岩波文庫の本や哲学書などかなり読んできています。ちなみに、私たちAtlasのスタッフの一人である船山も読書家です。
つまり、人に言われずとも自分で本をよく読む人は頭が良くなるということです。ここが大事なポイントであり、人から読めと言われて読んでいるようでは現時点でどうにもならないわけです。
先生や親から「本を読め」と言われて読む読書は、すでに教育の失敗の姿であり、その子に対するやり方を考え直す必要があります。
それにも気づかず、学校では毎年のように夏休み/冬休みの読書感想文を強制しています。教師と文科省というのは、勉強ができる子どものノウハウを現場に還元していないのは明らかです。
戦後76年が経過した今、日本の教育そのものは全く進歩していません。当然、英語の授業はむしろ英語を嫌いするだけの科目でしかありません。
しかも、タブレットにしたことで頭が悪くなる子どもを増やしているだけです。その子だけではなく、は、両親も筑駒高や東大に行けるレベルであると分かっていないようです。もう少し意識すれば、スタンフォード大学やハーバード大学なども夢ではありません。