Atlasマンツーマン英会話にも「底を打つ感」はあった。2008年度を底に、生徒数はゆるやかにではあるが、徐々に増え始め上昇気流に乗っかっている。
「下げ止まった最大の理由はインストラクターが定着してきたことと日本人スタッフの中にWebデザイナーを採用してマーケティングやマネジメントを一から練り直したからだと思います。すべての分野で安定してきたのですね」
質にこだわった運営を続ければいつかは光が差してくるはずだ。ヨネナガ氏の信念に間違いはなかったのだ。
なお、2007年末に英会話スクールの最大手NOVAが経営破たんに陥った。NOVAは、株式会社ジー・エデュケーション(北海道のEC英会話を買収後)に無償で引き渡されたが、閉鎖した教室が、200校以上にのぼった。NOVAはNOVAKIDSという子ども向けの英会話教室も展開していたが、そこに通っていた子どもたちがAtlas KIDSにも流れてきて、生徒数はうなぎのぼりで増えていった。これも救いになったことは事実だった。
英会話スクールのスペシャリストではあったが、事業の運営にあたってきたわけではない。経営は2年間アメリカのビジネススクールで学んだが、中には「3年でつぶれる」と言ってはばからない人もいたという。
「それが、当たっていなくもなかったのです。本当に2005年~2008年の3年間は、いつ破たんしてもおかしくない状態が続きましたから。そこでしっかり経営ができるようにならなければダメだと思い、ビジネススクールのテキストを10年ぶりに読み返しました。しかし、理論と実際の経営にはやはり距離があるのだということも思い知らされました」
財務処理表に目を通し、経営の実態を読み取れる目が備わると、ヨネナガ氏にも「上手くいく理由」と「上手くいかない理由」が明確に見えるようになってきた。
英会話スクールにかける理想は理想。しかし、英会話スクールを展開している以上、経営が成立することも、カリキュラムやレッスン内容、インストラクターの質と同じくらい大事なことなのである。教室の運営が破たんすれば、それまで通っていた生徒は難民になってしまう。英会話スクールの運営には、英語教育のノウハウを構築する手腕と同じくらい、経営手段(ITを活用したマーケティング技術と人材教育マネジメントと財務処理などのアカウンティング)が大事なのだということもヨネナガ氏は知っているのである。
赤字を計上している教室の財務内容を見ると、必ず何らかの原因が見つかる。そこで、その原因を解消する策を打ち出す。今、振り返ってみれば当たり前すぎることだが、それに気づくまで、やはり何年かは時間がかかるのだ。
ヨネナガ氏は言う。
「改めて大手英会話スクールの創業者で社長をやっている人はすごいと思えてきて、尊敬します。当時からこうした数字を全部読み取って、100以上の教室をしっかり運営されているのですから」
英会話スクールという競合したビジネスを展開するという立場もあり、ヨネナガ氏は大手英会話スクールどころか中小の英会話スクールの経営者とも会う機会はないという。だが、「いつかお話をして改めて尊敬の念をお伝えしたいと思っています」と静かに語る。
こんな言葉が素直に出る。その事実こそ、ヨネナガ氏が英会話スクールの経営者として本物の自信を身に付けたことを物語るものだといえるのではないだろうか。
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